八百屋の想い・こだわり

八百屋が伝えるもの

八百屋が伝えるもの

地場野菜(地元で作られる野菜)のように、通常売られる野菜以外にも、美味いものってのはたくさんある。
冬場なんかは特にたくさんあるんだよ。
例えばホウレン草がある。

群馬県のホウレン草なんかは、今はビニールハウスで作っているものが多いのだけれど、味を求めて露地で作っている農家もいる。
北橘村だとか富士見のホウレン草は、昔はみんな露地で作ってたんだ。

冬場の群馬だから雨はロクに降らない。
空っ風の中で育ったホウレン草は、育つのに時間がかかる。
東京や埼玉だと40日位でできるものも、群馬だと60日位経たないと
出荷できるサイズにならないんだよ。

そういう状況で作られたのを俺もずいぶん売ってきたけど、これぞ”ホウレン草”っていうホウレン草なんだよ。

市場で買ってきたそのホウレン草をその日のうちに売るわけじゃないんだよ。
「水を飲ませる」っていうんだけど、泥をいくらか洗いながら水で蘇生して一晩置いて販売する。
雨降ってないから、水吸うんだよ。もうピンピンに伸びるんだよ。

それでいて甘みのある。本当のホウレン草だった。

それに近いものが、この(足立区)近辺でとれる。そういうホウレン草は50円だの80円だの高くたって100円だよ。
ハウスでスッと伸びるのは、目方(重さ)は半分で100円だとか120円なんだよ。
出ているのは、ハウスがほとんどなんだよ。
全体の80%くらいはみんなそういうもんなんだよ。作りやすい、運びやすい、見た目がいいヤツなんだ。

そういうのは八百屋も売っているかもしれないけど、ほとんどスーパーが競って売っている。

だけど、その影に、まさに冬の1月から3月の時期に、ホウレン草の栄養価が一番高い本当のホウレン草の時期に作られたやつ、そういう露地のモノが今だに残っているんだよ。

ただ見たクレ(見た目)が悪いからって、見捨てられてるけど味が全然違うんだよ。
栄養価も違うんだよ。

科学技術庁の日本食品標準成分表によると、昔のホウレン草と今のホウレン草では、栄養価が半分になっている。ハウスで作られているのは、栄養価なんかほとんどない。

小松菜も然り。

最後は見たクレじゃないんだ。食って美味いヤツがいいんだよ。
俺はそう思っている。

そういうものをみんなが売れは値段も高くなるんだよ。
そういうものが本当は高くてしかるべきなんだよ。
美味いんだから。
栄養価も高いんだから。ただ見たクレが悪いというだけで、評価が下がちゃうんだよ。

見たクレがいいヤツってのは、栄養価も味もそこそこだけど、評価は上がるんだよ。
評価って何かっていいうと、価格だよ。

わかっている人も何割かいる。
でも大半は、見たクレがいい方、調理し安い方にいく。
100人いたら70人位なびくんじゃないか。
でも、「私はあくまで味なんだよ。」という人もいる。
そう言うヤツは本当に一握り。

そう言う声を消してしまったらいけない。伝統野菜みたいに受け継がれてきたものが無くなってしまう。
ただ、見たクレが悪い、煮るのに時間がかかるっていうだけで、
無くなってきちゃっているんだよ。
それじゃいけないって思うんだよ。

そう言う話は八百屋じゃないと伝えられないんだよ。

八百屋は本物でなくてはいけない

八百屋は本物でなくてはいけない

本当にあなたの食べている野菜・果物は美味しいですか?
見た目で野菜・果物を選んでいませんか?

トマトは露地で作られるものとハウスとでは、見た目はハウスの方がキレイだけど、全く別物という位、露地の方が美味しい。

梨は袋を被せず太陽光を浴びた方が糖度も歯ごたえも良いけれど、雨風にさらされる為、肌は汚くなる。

輸入した野菜や果物は、輸入免疫をパスする為燻蒸剤をかける為、安全とは云いがたい。
国産イチゴは1週間で腐るが、輸入ものは3週間でも変わらない。
これは自然の摂理に反する。

そういう事はお客さんと接する八百屋じゃなければ伝えられない。
何も知らなければキレイなヤツを買うのはあたりまえ。
でも、お客さんが本当に欲しいのは、美味くて安全なヤツだ。

市場では形の良いやつが買われる。
消費者がそれを買っているからだ。しかし、本当に欲しいものは違うはず
生産者は消費者が買うものを作る。しかし、本当に作りたいものは違うはず

八百屋がちゃんと消費者に伝えれば、消費者は形ではなく美味いものを選べる
美味いものが買われれば、生産者も形ではなく美味いものを作れる

形にとらわれず、美味しいものを仕入れる事のできる本物の八百屋。
自分の舌で確認し、本物の美味しさをしっかりと伝えられる本物の八百屋。

八百屋は本物でなくてはならない

八百屋の仲間達

杉本晃章と同じ想いで商売を営む八百屋仲間のHPを紹介します。是非ご覧下さい。


東京都青果物商業協同組合

約3,000名の組合員で構成される都内で最大規模の八百屋の組合。
杉本晃章が理事を務める。

八百屋塾

東京都青果物商業協同組合が主催する、八百屋の為の研修講座。
毎月、秋葉原にて野菜・果物の本当の姿、特性、効能等を食べ比べによって突き詰める勉強会を開催している。
杉本晃章が講師を務める。

野菜ソムリエのいる八百屋「やおたけ」

東京都清瀬にあるこだわり八百屋です。
店長の石山由美子さんは、一緒に買い出しやイベントを行う仲間です。
同じ想い、同じ悩み、同じ希望を抱えながら日々努力しています。

田中悠のこだわり八百屋

松原団地にある若手のまさに“こだわり”八百屋です。
まったくの素人からはじめた田中悠さんは、日々試行錯誤を繰り返し、今では素晴らしい商品知識を持ち、お客様へきちんと説明しながら商売を行っています。
田中さんも同じ仲間で買い出しや勉強会を行っています。

こだわり

野菜・果物にこだわる事はもちろんですが、野菜・果物の知識を伝え、お客様にとってより良い形でお届けするために、様々な取り組みを行っています。
その一部をご紹介致します。


産地表示
検査員も来なくなりました
仕入れ
追いかけられます
調理補助商品
季節に合わせて以下の商品を提供していいます
売り手
ツワモノ揃い

産地表示

杉本青果店のこだわりの1つは、すべての商品に産地が表示してある事だが、これは当然の事だ。
同じトウモロコシでも、品種や時期によって味が全然違うのは周知の事実だが、同じ県内でも取れる地域によっても味が違う。
さらに、出荷される農協によっても味や大きさに違いがある。 例えば、この時期のトウモロコシは、「青森津軽産の味来(みらい)という品種のトウモロコシで、JAつがる弘前のヤツが美味い。」
そういった知識を杉本晃章は驚くほどよく知っている。
これを知らなければ、良い仕入れができるわけがない。
そういったこだわりを全ての青果物に持っているからこそ、すべての商品に県だけでなく産地名までの一段深い表示ができる。
お客さんも産地によって味が違う事を知っている人も多い。
だから産地表示してあるのは、当然の事なのだ。 1996年、97年に農林水産省補助事業の原産地優良店の称号をもらった。
きめ細かい産地表示に驚き、それ以降はもう産地表示の検査員は来なくなったという。


仕入れ

市場に行くと、杉本晃章の凄さがよくわかる。
あまり出てこない青果物は八百屋はおろか、卸人もその価値を知らない。
だから安い。
でも食べれは美味い事を杉本晃章は知っている。
他の八百屋は杉本が買うと自分が味を知らなくても買う。
杉本が買えは、絶対美味しいという事を知っているからだ。
それを「追っかけ」というのだが、杉本にはよく「追っかけ」がつく。
しかし、その美味さを上手く伝えられないから、他の八百屋ではなかなかそれを売れないという。
長年の経験と努力によって、「見ただけで、味はわかる。」と杉本は言う。
「よく、今日のスイカは当たりだの外れだの言うけど、そうじゃない。
一本のスイカの苗から、美味いのとまずいのができるんじゃない。
美味いものはどれでも美味いし、まずいのはどれ食べてもまずい。
それを知らないヤツが、仕入れてごちゃ混ぜで売るから、当たり外れがある。」

すべての青果物に共通する美味さのルールがある。
ゆっくり育ったものの方が美味い。という事。
だから、ビニールハウスであっという間に育ったものは買いたくない。
なるべく露地ものでゆっくり育ったもの。
ハウスで30日で育ったほうれん草と、露地で50日かけて育ったものは味が違って当然。
ビニールハウスで育ったモノの方が、キレイにまっすぐ育つし、1年の収穫回数が露地よりも多い。
でも味が全然違う。
海外のものも当然の事ながら極力買わない。
市場に到着するのに船便で1週間もかかるものに、鮮度は求められないし、出所(農家)がわからないものは売りたくない。
だから、国産されていない「ニンニクの芽(※1)」は杉本青果店には売っていない

※1ニンニクの芽・・・ニンニクの芽(茎)は全て中国産です。
(国産は春四月に高松農協物が少々出回るだけ)
消費者の皆さんは中国産は嫌だと云いながら「ニンニクの芽(茎)はないですか?」と来店します。
「当店にはニンニクの芽(茎)は国産品がないから扱っていません」と断ります。


調理補助商品

今、消費者(主婦)の方々はお勤めしている方が多く、中々料理に費やす時間が無いのが現状です。
しかし、自分の手料理をしたいと云う方も沢山おります。夕方遅くお勤めから帰り、手間のかかった料理は大変なことです。
それを少しでも助ける為に調理補助の商品を積極的に進めています。
手軽な出来合いのお惣菜に偏りがちなこのご時勢を応援する為にもやっています。
次に紹介するのはその一部です


きぬかつぎ

1.蒸かし”きぬかつぎ”

今の時代はスナック商品がふんだんに出回っていますが、その昔(戦前・戦後)はそんな物は有りませんでした。
春四月お花見の頃出回る”八ツ子”(八つ頭の孫芋)を蒸かし、お花見に持っていった時代が有りました。
私達も子供の頃は良く親に、新じゃがやさつま芋を蒸かしてもらいおやつにしていました。
その頃の名残でしょうか?
今でも”きぬかつぎ”は人気の商品です。
しかし今”八ツ子”を蒸かすと、「硬い」とおっしゃるお客様が増えた為、里芋の小芋を蒸かして販売しています。
15個~20個位を小さな竹篭に入れて販売しています。
おつまみに良いという事で男性のお客様に人気が有ります。
又、近くの居酒屋さんもメニューに加えてもらっています。
・・・本当は"八ツ子”の方がホクホクして美味しいのにね。

じゃがいも

2.新じゃがいも(1月~5月)

里芋もそろそろ終盤に近づく頃に出回ってくるのが、南九州産の新じゃが芋(春ばれいしょ)です。
最近は熟度もかなり良く、長崎産の「愛の小町」などはかなりホクホク感が有り、人気があります。
これは、芋洗機(家庭用の洗濯機の旧式の物と思ってください)で5分~8分くらいかけますと、きれいに剥けます。
「新じゃがの煮付け」や「肉じゃが」の材料として人気の高い商品です。
皿盛りで販売しています

キンピラごぼう

3.キンピラごぼう(通年)

これは父の代からの商品で、昔ビニール袋が無かった時代に、ごぼうがしなびて売り物にならなかった頃のロス対策でしたが、新鮮な優良産地のごぼうと人参を使い、毎日午前中に手で刻み、何度も水にさらして漂白剤を使わない為、「安全キンピラごぼう」として人気があります。
どうですか?
味付けをして5分炒めれば自家製のキンピラごぼうが出来ますよ!

里芋

4.里芋の手剥き販売(8月~3月)

里芋は土が付いていて、つるつるすべりやすく、皮を剥くのが大変な野菜の1つです。
又、土が付いているので中味が良くわかりづらい野菜です。
良い産地の良い品種を求めても、少し古くなると傷みが出る事もあります。
選別の悪い産地の物は品物にバラつきが多く、お客さんに迷惑をかけるなんとも厄介な野菜です。
当店ではその手間と品質がわかる様、期間中は毎日手剥きの里芋を皿盛りで販売しています。

さつま芋

5.蒸かし”さつま芋”(9月~5月)

お芋(東京ではさつま芋の事を”お芋”と呼び、里芋の事を”小芋”と呼ぶ)は、江戸時代よりたびたびの飢饉や戦時の食糧難を助けてきた野菜の優等生です。
お芋というと安く見られがちな野菜になりましたが、その持つ美白効果や整腸作用は皆様ご存知の事と思います。
”蒸かし芋”は年配者の方に特に人気があり、毎日10kg~20kg蒸かし器で蒸かし、Lサイズ1本150円で販売しています。
当店の周辺には屋台の焼き芋さんは回って来なくなりました。

筍の子

6.筍の子の下茹

筍の子は真さに”旬”のものです。 筍の子にハウスも温室もありません。 ”旬”に食べないと又来年です。 しかし、筍の子を買うとゴミは出るし、下茹でして”アク”抜きをしないと煮付ける事が出来ません。
当店では市場から帰ってすぐに30kg~50kg茹で上げ、”アク”抜きをして販売しています。
お客様の家族構成に合わせて、半分切りの新鮮で香り豊かな新物の茹筍の子を売っています。
早春(1月~2月)に出回る中国産は輸入の都合上、掘ってから1週間~10日程たっているので、風味も落ち、根の部分がすごく硬いので扱っていません。
”マズイ”物のを先に売ると、せっかくの”旬”の国産品が売れなくなってしまうからです。

トウモロコシ

7.ふかし”トウモロコシ”(5月~9月)

近年トウモロコシは品種改良が著しく進み、昔より大変甘く、やわらかな品種の導入が成功した野菜です。
しかし、少子化が進み、家庭で3本、5本と茹でる事が無くなってしまいました。
生での販売は昔の1/10程度。(ひどいと思うでしょう!しかし本当です)
美味しくなったのに、売れなくなった。
なぜでしょう?
・・・茹でたり、焼いたりするのが"面倒”だからです。
しかし、観光地やイベント、夜店などでは焼いたり、茹でたりして1本100円そこそこのものを200~400円で売っています。
又、それを喜んで買っているでは有りませんか!
当店では1990年より蒸かし機(1回に30分でLサイズ90本蒸かせる)を導入し、期間中は1日約90~180本、花火大会の時などは最大400本を販売しています。
値段は時により違いますが、1本100円で販売しています。
蒸かして売る事により、1人暮しの方や若者が便利に買い求めて行きます。
又、売るほうとしても色々な産地や品種を提案でき、その味を比較して頂くことができます。
当店で”蒸かしトウモロコシ”を買っていると、シーズン中、南は九州沖縄から最終産地青森「獄トウキビ」、旭川の「味来コーン」まで食べる事ができます。
蒸かしてあって100円ですよ。
「当店の蒸かしトウモロコシ販売数量は全国一です!」
これ以上売っているお店の方は是非ご連絡ください。

売り手

伝統野菜もそうだが、本当に美味しいものは形が悪いものが多い。
だからしっかり説明をしなければ、味を知らないお客さんは美味しいものを逃してしまう事になる。
スーパーには商品を説明する仕組み自体がないから説明が出来ない。
八百屋しかできない事。
それは、売り手がお客さんの要望を聞き、しっかりと商品の説明をする事。
杉本青果店の売り手を紹介します。


<増渕さん>

杉本氏から絶大な信頼を受け、18年にわたり杉本晃章と共に働き、仕入れから販売までをサポートする豪腕売り手に増渕さんがいる。
店の先頭で威勢のいい声をあげているから、一番最初に目に付くだろう。

八百屋の仕事は楽ではない。
毎朝5:30には市場に出向き、夜は9時まで働く。
荷物を運び、掛け声を発し、だれにでも笑顔で接する。
1日中座る事すらない。

遠くから来ていただくお客さんがいるので月曜日から土曜日まで、雪でも嵐でも店は開く。

この過酷な仕事の中で増渕さんは「ストレスを感じた事はないよ」と言う。
増渕さんと話をするお客さんは、笑顔でたくさん買い物をする。
その秘訣を聞くと、
「俺が何を売りたいかを考えるんじゃないんだ。
お客さんが何を買いたいかを聞くんだ。
その為には、すべてのものがこだわりのあるものじゃないといけない。
ほとんどのお客さんは常連だから、うちに来ればいいもの買えるって知ってる。
別に大変じゃないよ。」
と言いながら、お客の味の好みはもちろん、前回買ったもの、家族構成、健康状態までを把握している。
初めて来店した人にはここでしか買えないものを勧める。

増渕さんに勧められたら、それを買った方がいい。
彼はあなたよりはるかに知識と経験を持っているからだ。

<栄士さん>

杉本青果店3代目。
息子さん。
今のところ、外見も性格も親父さんには似ていない。
九州でサラリーマンをしていた時期もあるが、今では増渕さんと共に市場での買出し、接客販売をしており、頑固な親父さんからの信頼も得ている。

祖父、父が築き上げた店の良さを残しつつも、常連客の年齢層が高い事を危惧しており、若い世代にも知ってもらう店づくりに試行錯誤を繰り返す。

毎日自炊をしている為、お客様の視点でも接客が上手い。 接客時の会話が弾む為か、彼が店に来てから、店の雰囲気は明るくなった。
新しい杉本青果店へと着実に新化しつつある。

<奥さん>

杉本青果店では、お客さんの好みあわせて料理方法も伝えている。
本当に美味しい料理の仕方を知らない人は多い。

例えばパプリカ(カラーピーマン)は、生で食べるよりも素揚げして、だし汁(麺つゆでも可)に浸し、冷蔵庫で冷やしてから食べる方が美味い。

ナスでも黒ナスは焼くのに適しているが、水ナスは向いていない。

北海道の名寄キャベツはやわらかい為サラダにむいているし、嬬恋のキャベツは歯ごたえがあるから炒めるのに向いている。

杉本晃章の奥さんはそういった料理の知識が豊富だ。

聞いてくれれば答えられる。
それがお客さんの信頼につながっている。

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